さて、建設業で独立することを意識したら、どんな一歩を踏み出せばいいのでしょうか。きちんとしたステップを踏むことで、独立時の思わぬ失敗や「これをしとけば」「あれを考えとけばよかった」が減らせます。

【1.企業内で独立を意識したら】

建設業で独立するには、自分が専門とするスキルや経験を高いレベルで身につける必要があります。そして、人を雇う際には教えられるレベルにする必要があります。従業員として経験を積むことから始めましょう。

(ここでやっておくといい事)

独立すると、技術だけでなく現場営業や総務・労務等一人でやらなければいけないことも増えてきます。元請企業の現場監督や他工種とのコミュニケーションは従業員であるとき以上に重要で、自分の食い扶持に直結します。

  • 現場監督と積極的に会話をし、使える人脈として認識してもらっておく
  • 現場に入るのに必要、有利と思われる資格を取得しておく

ことは、選択肢に入ります。

独立後は時間がとれず資格取得が難しくなるので、企業で働いている間に資格を取得しておくといいです。

例えば専任技術者になれる資格の取得は、建設業許可取得時に活きてきます。建設業許可があれば、請負金額が500万円以上、建築一式工事で請負金額1,500万円以上、延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事を請け負う事が可能です。リノベーション工事がある程度になると必要ですので、個人事業主の1人親方でも、非常に有利です。

 また、必ずしておくのは、創業資金を確保する事です。金融機関に融資をしてもらうにも自己資金を1/3程度用意できる事が必要と考えていいと思います。計画立てて準備出来るのは、毎月給与が入る会社員でいる時がベストですので、あまり無駄遣いせず準備をしておきます。

○一人で業務を一通りこなす知識や技能を備えているか

○元請・親請企業の人脈、顧客ネットワークがあり、スタート時点から売上を立てられるか

○社内で取れる監理系技能系の資格は取っているか

○独立して数か月持ちこたえられる現金はあるか

を確認しましょう。

【2.どのようなビジネスを行うか、計画を立てます】

いわゆる創業計画というものです。創業後どうビジネスが動くかを専門家と一緒にシミュレーションして、これならできる、と自分にお墨付きを与えます。決めていくのは

1)なぜ独立するのか、独立して何を目指すのかを明確にする

2)どのエリアで営業するのか。どんな種類の工事で仕事をもらうのか。どんな特徴を出していくのかを決める

3)独立してからの現場監督さんなどへの営業方法や、個人の住宅から受注をどうとるか、どうやって2)で決めた特徴を宣伝するかを決める

4)リスクがどこにあるのか、どう対応しておくと先々の備えになるのかを決める

5)利益が出て、生活が出来てさらに自分の目標に近づくようになっているのか計算する

6)最初に必要な資金がどの程度必要なのかを計算する

とおよそこの項目を決めていきます。

【3.独立に必要な事務所、機械類、備品類、通信手段を揃えていく】

事務所をどこにするかは大きな選択です。比較的独立初期に多い自宅兼事務所にするメリット・デメリットを考えていきます。

(自宅事務所にすると)

事務所を自宅にすることで通勤時間もなく、賃貸料も節約できます。自宅が賃貸なら賃料の一部は個人事業の経費にできます。また、自宅のデスクや電話、ネット回線なども使用できるため、初期投資の資金も少ないのが大きなメリットです。ただ、私自身がそうなのですがプライベートとの区別がつかなくなる、家族との関係性によっては、自宅にいても落ち着かないデメリットも考えられます。

(別にすると)

 一方賃貸の事務所は、事務所を持っているだけで信用度が上がり良い印象を受ける点がメリットです。賃貸の事務所は経費にできますが、やはり賃料がかかります。事務所内の備品も準備しなければなりません。備品の購入やリースにお金がかかることがデメリットとなります。自宅の中でもきちんと事務所として区別できるスペースがあれば、自宅を事務所にしても、事務所用地を借りるのでも良いと考えます。ただし、

●金融機関の口座を作る、創業融資の申し込みをする

●大企業の付き合い

●自宅と区別する必要がある

といった条件がある場合には、事務所を借りる事を強くお勧めします。

(備品を揃える)

開業に必要となる備品は、パソコン、ネット回線、営業車両、工具、資材、車両などです。

机や電話、FAX、パソコン、インターネット回線など備品などについては、すでに手持ちのものがあれば、そのまま使うのがお勧めです。

工具については最初から全て揃えようとせずに、必要に応じて徐々に増やしていってもよいでしょう。

(ホームページ等)

事前にHPあるいは公式SNSを作っておき、独立後すぐに公開できるようにしておくと、宣伝を安く行えますし、事業の信用が上がります。下請だから必要ない、という事で作らない方もいますが、無料のサービスでいいので、自分が会社あるいは個人事業として存在することを表す意味で作る事を強く進めます。施工事例や資格をアップすれば自分の実績をアピールすることもできます。資金をかけられるのであれば、建設業にホームページ制作の実績がある業者にサイトの制作を依頼するようにしましょう。

【4.資金調達する】

備品、事務所のリストアップができたら開業資金を調達します。融資やクラウドファンディングなど様々な手段がありますので、専門家の力も借りながら、当面の営業が継続できる金額を準備します。

机や電話、FAX、パソコン、インターネット回線など備品は、リースで最初に払う費用を減らして、更に費用化を検討しましょう。すでに手持ちのものがあれば、そのまま使えます。

資金調達が済んだら、事務所契約、機材や備品工具の購入を進め、独立への準備をします。

【5.諸手続きを行い独立する】

ここまで準備をしてようやく手続きに入ります。

手続きは

○今の会社の退職手続き

○新規に立ち上げる個人事業あるいは法人に向けた手続き

の2つを同時あるいはタイミングを考えながら行います。

この手続気については別途、章を設けて説明いたします。

【まとめ】

 立ち上げに成功した一人親方、建設業経営者は、思い切りのよさそうな行き当たりに見えてしまう方が他業種より多いですが、実際は自分の時間を綿密に準備することにあてて、ここぞというタイミングで逃さずチャンスをつかんでいます。勘頼りではなくしっかり普段から構想を練り、計画を立てているのです。

 しっかり準備をして、成功確率を高めておいて独立を選んで頂きたいです。

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